
街中で撮影した動画などを編集するとき、車のナンバーや通行人の顔にモザイクを入れることがあります。
ただ手動でちょっとずつ編集するのは大変です。
Premiere Proならワンクリックでトラッキングして、モザイクをかけることができます。
- 自動でモザイクを追尾させたい
- モザイクのかけ方が知りたい
- 編集時間を短縮したい
このような方に向けて、実際に無料のサンプルを使いながら「Premiere Proでモザイクをかける方法」を解説していきます。
Premiere Proで特定の部分にモザイクをかける方法
今回はこちらの無料動画素材を使います。
同じ手順でやりたい方はダウンロードして一緒に進めてください。
Premiere Proに動画を取り込む
まずPremiere Proに動画を取り込みます。
Premiere Proを立ち上げて「新規プロジェクト」をクリックします。

任意のプロジェクト名をつけて、動画素材を選択し「作成」をクリックします。

先に空のプロジェクトを作り、動画をメディアブラウザ、または直接タイムラインにドラッグ&ドロップでも取り込みが可能です。

ビデオクリップをカットする
モザイクを使うシーンだけ、ビデオクリップをカットします。
クリップごとにトラッキングが行われるので、必要のない部分をトラッキングさせないためです。
左側の白い車のナンバーにモザイクをかけるので、ナンバーが見えなくなる6秒付近でカットします。

レーザーツール、または「Ctrl+K」でカットが可能です。

エフェクトからモザイクをかける
エフェクトウィンドウを開いて検索ボックスに「モザイク」と入力します。
スタイライズ内にあるモザイクを、左側のクリップにドラッグ&ドロップしてください。

モザイクをかける範囲の調整
デフォルトだと全体にモザイクがかかってしまいます。
これを特定の部分にかかるように調整していきます。
まずモザイクをかけたいビデオクリップの最初に再生ヘッドを合わせてください。

クリップを選択した状態で、エフェクトコントロールにあるモザイクの項目から四角形のアイコンをクリックします。

プレビュー画面にモザイクのマスクが作成できました。

車のナンバーにモザイクをかけたいので、ドラッグで移動したあと四隅を調整して形を整えます。
このときモザイクの不透明度が100%になっていると範囲の指定がうまくできません。
マスクの不透明度0にして中身を見ながら調整しましょう。

不透明度を0にして、左の車のナンバーに合わせてマスクを調整します。

不透明度を100%に戻せば、指定した範囲にしっかりモザイクがかかります。

モザイクの調整
モザイクは特定の部分の解像度を下げて作られています。
ブロック数を調整することでモザイクの濃さ・薄さの調整が可能です。
調整できる項目は以下の通りです。
マスクの境界のぼかし | モザイクとそうではない境界部分のぼかし |
マスクの不透明度 | マスクの不透明度 |
マスクの拡張 | マスクをかける範囲の調整 |
水平ブロック | 水平方向にブロックをいくつ敷き詰めるか |
垂直ブロック | 垂直方向にブロックをいくつ敷き詰めるか |
シャープカラー | くっきりした色のモザイク |
Premiere Proでモザイクを自動でトラッキングする方法
上記でかけたモザイクを動画に合わせて自動でトラッキングします。
マスクパスの横にある三角のアイコンをクリックするだけです。

アニメーションがオンになり、自動でトラッキングが始まるので終わるまで待ちます。
トラッキングが終わって書き出した動画がこちらです。
自動トラッキングですが、違和感なくモザイクがかけられました。
またクリップの終わりから逆再生してトラッキングしたい場合は、左側の三角アイコンからトラッキングができます。
クリップの終わりに再生ヘッドを合わせて、モザイクの範囲を決めて使ってみてください。

Premiere Proでモザイクを手動でトラッキングする方法
トラッキングだとモザイクがズレてしまうこともあるため、手動でモザイクをトラッキングさせる方法をご紹介します。
マスクパスを作るところまでの手順は同じです。
クリップにモザイクをかけて、マスクパスを追加して、範囲を整えます。

次にマスクパスの時計アイコンをクリックしてアニメーションをオンにします。

あとはフレームを進めながら、マスクの位置や範囲をちょっとずつ合わせていきます。
調整した部分にマスクのキーフレームが打たれるので、それをクリップの最初から最後まで繰り返せばトラッキングするモザイクが作れます。
白い車はトラッキング、緑の車は手動でモザイクをかけてみました。
途中少し雑ですが、ナンバーは隠すことができました。
クリップの途中でモザイクを非表示にするときの処理
トラッキングはクリップ単位で行われるので、クリップの途中でモザイクを非表示にする場合は手動で調整が必要です。
モザイクを非表示するときは、不透明度を使います。
マスクを移動させて消そうとすると、このように移動のモーションが残ってしまうからです。

モザイクを非表示にしたい位置に再生ヘッドを合わせて、左カーソルで1フレーム戻してから、不透明度のアニメーションをオンにします。

1フレーム進めて不透明度を0にします。

これで違和感なくモザイクが消せます。

途中にキーフレームがないため、非表示にしたい箇所の1フレーム前までを100%とすることで、徐々にモザイクの不透明度が変わるのを防いでいます。
Premiere Proで1つのクリップに複数のモザイクを入れる方法
車のナンバー全てにモザイクを入れる場合は、マスクパスを複数作成します。
1つ作られた状態で四角いアイコンをクリックすれば、2つ目の作成が可能です。

トラッキングでモザイクを複数入れる場合は、カットと結合を繰り返して作ります。
まず上記で解説したように、白い車のナンバーが映っている部分(0~6秒辺り)までクリップをカットして、トラッキングでモザイクをかけます。
白い車のナンバーにモザイクがかけられたら、一度クリップを結合します。
カットした部分に「Ctrl」を押しながらマウスカーソルを合わせると、カーソルが変化します。
この状態で左クリックして「Deleteキー」を押せばクリップが結合できます。

緑の車のナンバーが映っている部分(0~11秒辺り)までカットします。

2つ目のマスクを作り、緑の車のナンバーに合わせて形を整え、トラッキングしてモザイクをかけます。

再度クリップを結合します。
赤の車のナンバーが映っている部分(0~12秒辺り)までカットします。

3つ目のマスクを作り、赤の車のナンバーに合わせて形を整え、トラッキングしてモザイクをかけます。

再度クリップを結合します。
紫の車のナンバーが映っている部分(7秒辺り~最後)までカットします。

再生ヘッドを最後から1フレーム戻ったところに合わせて、右側のクリップを選択した状態にします。

4つ目のマスクを作り、紫の車のナンバーに合わせて形を整え、逆再生でトラッキングしてモザイクをかけます。
紫の車は始まりが赤の車で隠れてしまっているので、逆再生の方がモザイクの形が崩れません。

最後はクリップをカットしたままで結合はしません。
右側のクリップにマスクをかけているため、結合するとマスク4が消えてしまいます。
あとはモザイクが不要な部分に残ったマスクをクリップの途中でモザイクを非表示にするときの処理で紹介したやり方で非表示にします。
クリップが分割されているので、赤の車のモザイクを非表示にするときは右のクリップを選択してから調整してください。
これで1つのクリップに複数のモザイクがかけられました。
全てトラッキングでやる方法を紹介しましたが、緑の車や紫の車のようにモザイクの対象が何かと重なっている場合は、最初から手動でやった方が簡単なこともあります。
またトラッキングを途中で停止しても、そこまでのキーフレームは残ります。
途中から手動で作業したい場合は、停止しても問題はありません。
人によってやり方、やりやすさは違うので、いろいろ試してみてください。
Premiere Proでモザイクをトラッキングさせるときのポイント
モザイク処理をするときのポイントを3つご紹介します。
- トラッキングが重い
- マスクの範囲が大きい・小さい
- 手動でキーフレームを打つときのコツ
トラッキングが重い
もしトラッキングが重く、動作が不安定な場合はレンダラーを確認してみてください。
ファイル→プロジェクト設定→一般で見ることができます。

もしここがソフトウェア処理だった場合は、GPUの方が作業は軽くなります。
マスクの範囲が小さい・大きい場合
トラッキングするとマスクをかける箇所によっては範囲が小さい、または大きくなってしまう場合があります。
もし手動で設定できるのであれば、四隅をドラッグしてフレームごとに調整した方が綺麗になります。
ただ修正する箇所が多く、1フレームずつだと時間がかかってしまう場合は、「マスクの拡張」で範囲の大きさが変えられます。

全体的な大きさを変えたい場合はそのまま値を変更、一定の区間だけ大きさを変えたい場合はアニメーションをオンにして、値を調整してください。
手動でキーフレームを打つときのコツ
モザイクに限らず、プレビュー画面でマスクの調整をする場合、矢印キーでフレームが進められません。
- マスクを調整する
- タイムラインをクリック
- 矢印キーでフレームを進める
おそらくこうやって作業する方が多いと思います。
マウスホイールを使えば、マスクを調整しながらフレームも動かせます。
- 手前に回す→フレームが進む
- 奥に回す→フレームが戻る
手動でマスクの調整をするときは便利なので、ぜひ使ってみてください。
Premiere Proでモザイクをかける方法まとめ!
今回はPremiere Proでモザイクをかける方法について解説しました。
- Premiere Proで特定の部分にモザイクをかける方法
- Premiere Proでモザイクを自動でトラッキングする方法
- Premiere Proでモザイクを手動でトラッキングする方法
- クリップの途中でモザイクを非表示にするときの処理
- Premiere Proで1つのクリップに複数のモザイクを入れる方法
- Premiere Proでモザイクをトラッキングさせるときのポイント
外で撮影した動画ファイルだと、どうしてもモザイク処理が必要な箇所がでてきます。
またモザイクをかけられるだけで、クラウドソーシングの案件を受けることも可能です。
案件の数は少ないですが、モザイクのみをかけてほしいというクライアントもいるので、覚えておいて損はありません。
難しい操作はないので、ぜひ挑戦してみてください。
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