
スキルなしで始められる仕事の一つに「テープ起こし」があります。
テープ起こしは、音声ファイルをテキスト化する作業です。
現在はAIが自動でテープ起こしをやってくれるため、手作業でやるのは誤字・脱字の修正がほとんどです。
ただクライアントワークの場合、仕様書によって表記方法などの指定があります。
そこで今回は、実際にクライアントワークの流れや「テープ起こしのやり方」について、詳しく解説していきます。
- テープ起こしの仕事がしたい人
- テープ起こしのやり方について学びたい人
- テープ起こしの報酬についてしりたい人
テープ起こしとは?

テープ起こしは「文字起こし」とも言われ、音声ファイルをテキストに直すという作業です。
クライアントから仕様書をもらい、感動詞を削除する「ケバ取り」や、数字や固有名詞を適切な表記にする「整文」という作業をしていきます。
現在はAIで音声をテキストに起こせるため、手作業でやるのは上記のケバ取りや整文がメインです。
クラウドソーシングでテープ起こしをやるときの流れは?
基本は以下のような流れになります。
- 契約・作業内容の確認
- 音声データ・仕様書を受け取る
- テープ起こしの作業をする
- 作業したデータを納品する
まずクライアントと作業内容の確認から入ります。
お互いに作業内容や報酬について合意が取れたあと、音声データと仕様書が渡されます。
あとは仕様書の沿って音声データをテキストに直し、納品して完了です。
テープ起こしの作業は主に3つ
テープ起こしでは、主に3つの作業を行います。
素起こし | 音声ファイルをそのままテキストにする |
ケバ取り | 「あー」「えー」などの感動詞を削除する |
整文 | テキストを整えて読みやすくする |
素起こし
こちらは音声の内容を変えずに、そのままテキストに起こす作業です。
通常は後述するケバ取りをしたテキストを依頼する方が多いですが、クライアントによっては素起こしの状態で納品を希望される方もいます。
ここについて契約時に案内があると思うので、確認してみてください。
ケバ取り
ケバ取りはテキストとして不要な部分を削除する作業です。
「えー、本日はお忙しい中、お越しいただき誠にありがとうございます」
↓
「本日はお忙しい中、お越しいただき誠にありがとうございます」
「えー」「ああ」「えっと」「んー」などは感動詞と呼ばれ、言葉にあまり意味を持ちません。
こちらを取り除き、文章として自然な形にしていきます。
整文
ケバ取りをしたテキストを、全体的に読みやすく整える作業です。
例えばケバ取りをしても、会話形式の音声ファイルだった場合、「話し言葉」を使っていることがあります。
- おんなじ→同じ
- 見れる→見られる
- どっち→どちら
他にも固有名詞の表記を直したり、数字の表記をアラビア数字にしたり、全体的なチェックを行っていきます。
- youtube→YouTube
- 十時五十分→10時50分
表記のルールはクライアントによって異なるため、仕様書に沿ってテキストを起こしていきましょう。
実際にテープ起こしをやってみよう

やり方がわかっても、いきなりクライアントワークは怖いという方もいると思います。
テープ起こしを体験する方法がいくつかありますので、そちらをご紹介します。
一般社団法人音声テキスト化協会
一般社団法人音声テキスト化協会のサイトで『「テープ起こし」にチャレンジ』というページから、体験ができます。
一般社団法人音声テキスト化協会は、「テープ起こし技術者資格」を発行している協会です。
テープ起こしを専門的に学びたい方へ、学習講座などを開いています。
オンライン上でテープ起こしの体験ができるため、ぜひ挑戦してみてください。
文字起こし技能テスト
文字起こし技能テストのページで、練習問題ができます。
こちら「文字起こし技能テスト」という資格を発行している協議会です。
問題集も出しており、Kindle Unlimitedに加入している方であれば0円で挑戦ができます。
資格を取るつもりがなくても、一通りテープ起こしについては学ぶことができるので、ぜひやってみてください。
自動でテープ起こしができるソフト
実際に使ってみたソフトの中から、使いやすかったものを2つご紹介いたします。
- Vrew
- Adobe Premiere Pro
Vrew
Vrewは動画や音声ファイルをAIが読み取り、自動でテキストに変換してくれるソフトです。
動画のテロップなどに使われますが、音声ファイル単体でも読み取ることが可能。
データ変換は1ヵ月90分までという制限がありますが、無料会員登録をするだけで無制限で使えるようになります。
操作も簡単で精度も高く、非常に便利なソフトです。
ダウンロード&アカウント登録
・ダウンロード&インストールはこちら

インストールが終わったらVrewを起動します。
メニューバーの左上が「My Vrew」となっているので、そこからアカウント登録が可能。
必要事項を入力し、メール確認するだけで登録ができます。
音声の取り込み
メニューの「ファイル」→「新規で作成」→「音声ファイルで始める」をクリックします。

認識する音声は日本語を選択。

確認を押すと自動で音声の分析が始まり、テキスト化してくれます。
テキストはメニューの字幕から全てコピーすることができます。

実際にテキスト化した文章
実際の文章とテキスト化したものがこちらです。
今回は「走れメロス」を自動音声が読み上げしたものを取り込んでみました。
わかりやすく比較するため、Vrewのテキストには原文と同じ箇所に句読点だけ入れています。
メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。
引用元:https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1567_14913.html
メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。今日未明メロスは村を出発し、草超え山越え、十里離れたこのこのシラクスの市にやってきた。メロスには父も、母もない。女房もない。
ルビが振ってあるところが繰り返されているのと、「きょう」「今日」などの漢字表記違いくらいで、ほぼ原文のままテキスト化ができました。
Vrewを使った仕事を募集しているクライアントもいるので、使い方をしっておいて損はありません。
音声ファイルの質にもよりますが、Vrewを使えば作業の効率化ができます。
Adobe Premiere Pro
こちらは有料かつ動画編集のソフトですが、Vrewより機能が豊富で、より正確に文章が起こせます。
Premiere Proを使用するにはサブスクリプションで月額2,728円、年間一括払いだと28,776円で3,960円お得です。
契約後、Premiere Proをインストールしたら起動しましょう。
最初にプロジェクトを作成します。左上に任意の名前を入力して、右下にある作成をクリックします。

プロジェクトが作成できたら、画面下部のタイムラインに音声データを取り込みます。
そのままドラッグ&ドロップ、またはメディアファイルから選択が可能です。

テキストウィンドウを開き、「自動文字起こしを開始」をクリックします。

設定画面が出てくるので言語を「日本語」にして「文字起こし開始」をクリックします。
※初回は日本語データのダウンロードが必要です。

文字起こししたデータを保存するにはテキストウィンドウの右側にある三点リーダから書き出しが可能です。
ファイル形式を指定してエクスポートができます。

以上でPremiere Proの文字起こしは完了です。
自動文字起こし機能は下記記事でも詳しく解説していますので、よければ参考にしてください。
【Premiere Pro】初心者が知っておきたい!基本的なテロップの入れ方!
テープ起こしで注意した方がいいポイント
仕様書をしっかり確認していれば、そこまで大きなミスはありません。
ただ細かい箇所で見落としてしまう可能性があるので、注意した方がいいポイントをいくつかご紹介します。
固有名詞が統一されていない
上記で説明したyoutube→YouTubeなどです。
- google→Google
- アップル→Apple
- facebook→Facebook
- アマゾン→Amazon
固有名詞にはそれぞれカタカナ・大文字・小文字など、表記方法が決まっています。
最初はあまり意識できず、見落としてしまうことが多いです。
迷ったらメモしておいて、書き終わってからチェックするなど工夫してみてください。
聞き取れない箇所の表記
どうしても聞き取れない箇所や、表記方法がわからない部分は、仕様書で書き方が指定されています。
文字起こし技能テストの仕様書では、以下のようなルールが設定されています。
- 聞き取れない箇所は黒丸「●」
- 表記がわからない部分は〓で囲みカタカナで記入
- 表記がわからない部分の時間を記入
表記がわからない部分というのは名前などです。
「ワタル」という方がいて、それが「航」か「渉」なのか、音声ではわかりません。
ですので、「〓ワタル〓(00:05:00)」のように記入するというルールが決まっています。
クライアントによってルールが違うので、書き方を間違えてしまわないよう、注意してください。
漢字・ひらがなの表記方法
表記方法は主に2つに分かれます。
- 新聞表記
- 速記表記
新聞表記は記者ハンドブックを元にした表記、速記表記は標準用字用例辞書を元にした表記方法です。
本を持っておくとすぐ調べてられて便利ですが、ネットで確認できるものもあります。
表記方法に迷ったら調べるか、自身の都合に合わせて用意してみてください。
テープ起こしのメリット・デメリット
察際に作業してみて感じたメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
- いろいろな言葉が学べる
- 在宅で稼げる
- 聞き取り能力が上がる
- スキル不要でできる
音声ファイルにはインタビューや講演会、議事録、セミナーなど、さまざまなものがあります。
自分がしらない世界の言葉が出てくることが多々あり、新しい用語や使い方を学ぶことができました。
またうまく文字起こしできていない箇所は自分で聞き取る必要があるため、聞き取り能力も向上します。
始めるための事前知識などが必要ないのもメリットです。
初心者の方でも始めやすい仕事かと思います。
デメリット
- 報酬が安い
- 案件が少ない
クラウドワークスの相場一覧表を見ると、60分のインタビューで5,000円と書いてあります。
ただ実際は10分100円程度の案件が多く、もっと安い場合もあります。
もちろん適正価格で出している案件もありますが、そういった案件には募集者が非常に多く、なかなか契約できません。
それなりに稼ぐのであれば数をこなすか、経験を積んで報酬の高い案件に応募する必要があります。
テープ起こしのスキルを磨くには?
上記で少し紹介しましたが、テープ起こしのスキルを証明する資格が存在します。
- テープ起こし技術者
- 文字起こし技能テスト
テープ起こし技術者
「一般社団法人音声テキスト化協会」が運営をしており、テープ起こしに必要な知識や技術、一般常識などが一定レベルに達しているか、判定する資格です。
試験日 | 随時実施 |
受験資格 | 18歳以上 |
試験場所 | 自宅などネットが繋がっている環境 |
試験内容 | 受験時間1.5時間 ・基本問題 ・知識問題 ・実技問題 |
受験料 | 6000円(2回まで受験可能) |
申し込み | 受験申込フォーム |
問題は同社が行っている学習講座の範囲から出題されます。
資格とは別に、学習講座を修了すると修了証書をもらうことが可能。
文字起こし技能テスト
文字起こし活用推進協議会が行っており、こちらはTOEICのようなスコア制となっています。
1000点満点のうち、スコアをどれくらい取れたかによって、スキルの証明ができます。
- 400点以上→基礎的な知識
- 600点以上→一般的な文字起こしが可能
- 800点以上→幅広い文字起こしが可能
- 901点以上→スペシャリスト
901点以上を取得するとさまざまな特典が受けられます。
- 正会員企業への紹介
- 受験料の値引き
- 特定の書籍が10%オフ
- 勉強会への無料参加
- スペシャリストのマーク交付
実践する
資格などのスキルの証明は、契約が取りやすくなるというメリットがあります。
ただ資格を持っていても、作業内容がクライアントの要望通りではなかった場合、継続して契約してもらえる可能性は低いです。
ですので、先に実践してしまうというのもあり。
クライアントからフィードバックをもらえることもありますし、実践が一番スキルアップできます。
実践しながらでも勉強はできるので、簡単な案件から始めてみてはいかがでしょうか。
クラウドソーシングでテープ起こしをするには?
クラウドワークス
利用者の数が国内1位ということもあり、案件の数はクラウドワークスが一番です。
単純に案件が多いので、初心者の方でも契約が取りやすいのが魅力。
ただシステム手数料が高いので、稼ぐというよりは練習・経験を積みたい方におすすめのクラウドソーシングです。
ランサーズ

ランサーズは手数料が安いのが魅力です。
クラウドワークスは20%+消費税も取られますが、それに対してランサーズは16.5%とかなり抑えられています。
ただ案件が非常に少なく、競争率が高いのがデメリット。
もし経験を積んで契約が取れるようになったら、ランサーズをおすすめします。
テープ起こしのやり方まとめ
今回はクラウドソーシングでテープ起こしをやる方法についてご紹介しました。
- テープ起こしの作業内容についてしる
- 実際にやってみる
- ソフトの使い方を覚える
- 案件を受けてみる
特別なスキルは必要なく、ソフトの使い方とタイピングができれば誰でもできる仕事です。
ただ聞き取り能力、作業速度は人により差がでます。
クラウドソーシングで最初に作業するにはおすすめの仕事なので、興味ある方はぜひ挑戦してみてください。
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