
リップルツールから切り替えられるツールに、リミックスツールがあります。
端的に書くと、リミックスツールはオーディオクリップの長さを自動的に調整してくれる機能です。
またダッキングという音量を調整できる機能もあります。
Premiere Proを初めたばかりの方は、どんな機能なのか、どうやって使うのか、わからない方も多いのではないでしょうか?
この記事では初心者の方でも理解できるように、リミックスツールの具体的な使い方について解説しています。
オーディオクリップの作業効率を上げたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
- オーディオクリップの長さを上手く調整したい
- オーディオクリップの音量を自動で調整したい
- リミックスツールの具体的な使い方がしりたい
Premiere Proのリミックスツールとは?
リミックスツールはオーディオクリップの長さを自動的に調整できる機能です。
例えば3分のオーディオクリップを1分のビデオクリップに合わせて調整したいとき、手動でカットして違和感なくつなげるのは大変です。
リミックスツールを使うとその作業をAIが自動で行い、オーディオクリップをつなげてくれます。
もし違和感があった場合は、手動で調整することも可能です。
オーディオクリップの長さを調整したり、リミックスの仕方を指定したりできます。
リミックスツールの基本的な使い方
使い方は簡単で、リミックスツールでオーディオクリップの長さを変えるだけです。
実際に以下の素材を使って調整してみます。
こちらの動画は約40秒ですがBGMは約3分です。
リミックスツールを使って、ビデオクリップに合わせてオーディオクリップを調整します。
まず素材をタイムラインに取り込みます。

リップルツール長押しからリミックスツールを選択、またはショートカットキーでリミックスツールに切り替えます。

あとはオーディオクリップをビデオクリップの長さに合わせれば自動的にリミックスされます。

実際に書き出した動画がこちらです。
元の素材と比べると、BGMが違和感なく短くなっているのがわかると思います。
リミックスツールを手動で調整する方法
リミックスツールはAIがクリップを分析しているため、万能というわけではありません。
素材やクリップの長さによって、違和感が出てしまう場合もあります。
そういった場合は、手動で調整が可能です。
調整できる項目は以下の通りです。
- プリセット
- ラウドネス
- デュレーション
- 補完方法
- ターゲットデュレーション
- リミックスデュレーション
- Customize(セグメント・バリエーション)
- ダッキング
エッセンシャルサウンドの表示
リミックスの調整はエッセンシャルサウンドのパネルで行います。

リミックスツールを使うと自動でパネルが追加されます。
もし表示されていない場合は、メニューバーの「ウィンドウ」から「エッセンシャルサウンド」を選択して表示してください。

プリセット
プリセットはあらかじめ設定がされており、それを選択するだけでリミックスしてくれるものです。
秒数を指定したり、特定の音声に対してダッキングを行ったりできます。

プリセットを選択すれば、それぞれの設定に合わせてリミックスしてくれます。
ラウドネス

ラウドネスは音量のレベルを一定に調整してくれるエフェクトです。
例えばBGMをカットしてつなぎあわせても、つなぎ目の部分は音量差があり、違和感がでます。
そういったことがないように、全体の音量を調整してくれるのがラウドネスです。
チェックを入れておけば、リミックス時に音量の差を自動的に調整してくれます。
デュレーション

デュレーションはクリップの長さです。
リミックスツールでクリップの長さを変えると自動的にチェックが入ります。
また以下の項目の設定が可能です。
補完方法
補完方法はクリップの長さを変えたときの処理方法を選択できます。
リミックスは上記で説明したようにクリップの長さを変えたときに、違和感がないよう調整するものです。
ストレッチはクリップの長さに合わせて、再生速度が変わります。
中身はそのままクリップの長さを変えたいのであればリミックス、長さと再生速度を変えたいのであればストレッチを選択します。
ターゲットデュレーション・リミックスデュレーション
ターゲットデュレーションはクリップの長さを指定するものです。
リミックスしたときに、ターゲットデュレーションで指定したクリップの長さ±5秒以内でクリップが調整されます。
例えばターゲットデュレーションを30秒にすると、25~35秒の間でクリップが作られます。
リミックスデュレーションは、リミックス後のクリップの長さです。
手動でクリップの長さが上手く調整できなかった場合は、ターゲットデュレーションを変更して調整してください。
Customize(セグメント・バリエーション)

セグメント
セグメントは編集点の数を調整できる機能です。
リミックスはオーディオクリップにカットやフェードインなどを入れて、編集されます。
リミックスツールでクリップを調整すると、編集したところに波線ができます。

この編集点の数を調整できるのがセグメントです。
セグメントは使用する曲によって適切な値が異なるため、多ければ良い・少なければ良いというものではありません。
使用するBGMを聞きながら、セグメントの値を調整してみてください。
バリエーション
バリエーションはBGMを「どうやって調整するか」が指定できます。
メロディックはメロディーラインを際立たせるためのオプションです。
使用するBGMにボーカルやメロディを奏でる楽器があり、それが中心となるトラックの場合は、メロディックに値を振る方が適しています。
倍音は基本の周波数に対して、整数倍の周波数を持つ音の成分です。
人間には聞き取れない周波数ですが、倍音が多いと心地良く感じられると言われています。
合唱やオーケストラなど複数の音声トラックを使用しているBGMであれば、倍音に値を振る方が適していると言えます。
ダッキング
ダッキングはオーディオクリップが2つあるときに、自動で音量が調整できる機能です。
実際に見てもらった方がわかりやすいと思うので、先にダッキングをかけた動画をご紹介します。
こちらは2つの音素材を使用して、BGMの方にダッキングをかけた動画です。
お借りした素材はこちらです。
音声素材が流れるときだけ、BGMの音量が下がっているのがわかると思います。
このように特定のオーディオクリップが流れるとき、別のオーディオクリップの音量を調整できるのがダッキングです。
基本的な使い方
まず音声・BGM素材をタイムラインに取り込みます。

次にオーディオタイプを指定します。
オーディオタイプは「どの音声に対してダッキングをかけるか」を指定するものです。
クリップを選択した状態で、エッセンシャルサウンドからオーディオタイプを選択して下さい。

今回は音声素材を「会話」、BGM素材を「ミュージック」に指定し、BGMの方にダッキングをかけます。
オーディオタイプを指定したら、BGMのクリップを選択した状態で「ダッキング」にチェックを入れます。

「ダッキング」の項目辺りをクリックして、設定画面を開きます。
ダッキングターゲットで会話を選択して、一番下にある「キーフレームを生成」をクリックします。

そうすると、音量のキーフレームが生成され、会話のクリップが流れるときにBGMの音量を下げることができました。

次に設定できる項目の使い方について解説します。
設定できる項目は以下の通りです。
- ダッキングターゲット
- 感度
- ダッキング適用量
- フェード期間
- フェードポジション
ダッキングターゲット
これは「どのオーディオタイプに対してダッキングをかけるか」を指定するものです。
上記ではダッキングターゲットを「会話」に指定して、BGMにダッキングをかけました。
ですので、会話に指定したクリップが再生されたときに、BGMの方の音量が調整されています。
他に効果音など別のクリップがあった場合、オーディオタイプを指定しておけば、それらをダッキングターゲットにしてダッキングがかけられます。
感度
これはダッキングターゲットにした音声を認識するための感度です。
例えばダッキングターゲットに指定したクリップの音声が小さかったり、感度が低かったりするとキーフレームを生成をクリックしても、キーフレームが生成されません。
感度が低くてキーフレームの生成ができず、うまくダッキングができていない状態です。
このような場合は、感度を上げることで改善できる可能性があります。
ダッキング適用量
これはダッキングターゲットに指定した音声が流れたときに、どれくらい音量を下げるか指定ができます。
「db」はデシベルという単位で、音量の大きさを表すものです。
例えばダッキングをしてもBGMがまだ大きいと感じた場合、ダッキング適用量を増やして再度キーフレームを生成すれば、改善できる可能性があります。
逆に小さすぎたなと感じた場合は、ダッキング適用量を減らして調整します。
フェード期間
フェード期間はダッキングターゲットに対して、フェードが入る時間を指定できるものです。
フェードは徐々に音量を下げたり、上げたりする機能です。
例えばフェード期間を1000msにした場合、ダッキングする箇所に対して1秒かけて徐々に音量が小さくなります。
ダッキングした箇所の再生が終わったら、1秒かけて元の音量に戻ります。
「ms」という単位はmilli secondのことで「ミリセック」と読みます。
1msが0.001秒なので、1秒かけてフェードイン・フェードアウトしたい場合は1000msを指定します。
このようにダッキングする箇所に対して、フェードする時間を指定できる機能です。
フェードポジション
フェードポジションはダッキングする箇所に対して、フェードする間隔を相対的に調整できる機能です。
例えばフェードポジションの値を5で指定するとダッキングポイントに対してフェードポジションは以下のようになります。

これを「3」にするとダッキングポイントに対して、フェードポジションが相対的に広がります。

「9」にすると相対的に狭くなります。

このようにフェードする間隔を相対的に調整できる機能です。
リミックスツールの使い方まとめ
今回はリミックスツールの使い方について解説しました。
- Premiere Proのリミックスツールとは?
- リミックスツールの使い方
- リミックスツールを手動で調整する方法
- ダッキングの使い方
- ダッキングの調整方法
オーディオクリップは手動で調整するのが大変です。
カットや音量の調整を全て手動でやるとなると、非常に時間が掛かります。
リミックスツールやダッキング機能を使えば、クオリティを維持したまま自動で調整が可能です。
編集作業の効率アップにつながるので、ぜひ試してみてください。
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