
23年8月31日に、AUTOMATIC1111のver1.6.0がリリースされました。
SDXLのRefinerモデルに対応し、その他UIや新しいサンプラーなど以前のバージョンと大きく変化しています。
この記事では、ver1.6.0でRefinerモデルを使う方法と、主要な変更点についてご紹介します。
なお、SDXLモデルの導入方法についてはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
Stable Diffusion XL(SDXL)をAUTOMATIC1111で使う方法!
AUTOMATIC1111をver1.6.0にアップデートする方法
ver1.6.0の機能を使うには、AUTOMATIC1111をアップデートする必要があります。
Stable Diffusion web uiのフォルダで空白部分を右クリックし、ターミナルを開きます。

以下のコマンドを入力して実行します。
git pull

これでAUTOMATIC1111は、ver1.6.0に更新されます。
なお、依存関係を更新するには、node.jsが必要です。
node.jsをインストール済みの方は、以下のコマンドで更新できます。
npm install

アップデート方法について詳しくはこちらで解説しているので、参考にしてみてください。
【Stable Diffusion Web UI】アップデートを確認・実行する方法は?定期チェックや手順について詳しく解説!
AUTOMATIC1111のver1.6.0でSDXL Refinerモデルを使う方法は?
ver1.6.0でSDXLモデルを使う方法について、ご紹介します。
モデルを使用するには、まず左上の「Stable Diffusion checkpoint」でBaseモデルを選択します。

VAEもSDXL専用のものを選択します。

次に、hires.fixの横に新しく実装された「Refiner」というタブを開き、CheckpointでRefinerモデルを選択します。


「Switch at」のスライダーは、Refinerモデルを適用するタイミングを指定できるものです。
デフォルトだと0.8となっており、サンプリングステップの80%からRefinerモデルが適用されるという意味になります。
この状態でGenerateすれば、SDXLのBase・Refinerを併用して画像生成が可能です。
「夜の高速道路を走る車(Cars running on the highway at night)」と入力するとこのような画像が生成できます。

なお、SDXL使用時のみVRAM消費量を抑えられる「--medvram-sdxl」というコマンドライン引数も追加されています。
通常時はmedvram使用せず、SDXL使用時のみVRAM消費量を抑えたい方は設定してみてください。
AUTOMATIC1111 ver1.6.0の変更点は?
他にもいくつか気になる変更点があったのでご紹介します。
Hires.fixのUI変更
Hires.fixもRefinerモデルと同じように、チェックボックスではなくアコーディオン型のタブを開くことでオンになるよう変更されています。

canvas-zoom-and-panがデフォルトで実装
「canvas-zoom」の機能がデフォルトで実装されています。
canvas-zoomは、元々インペイントを使いやすくするための拡張機能です。
マスクの色の変更や、拡大・縮小・画面移動などの操作をショートカットキーで行えます。
全てではありませんが、デフォルトでこれが実装されており、インペイントが使いやすくなりました。
・canvas-zoomのショートカット一覧

・ver1.6.0のショートカット一覧

またデフォルトでマスクが透過されており、塗りやすくなっています。

canvas-zoomの使い方については、インペイントの解説記事で紹介しているので、参考にしてみてください。
【Stable Diffusion】画像の一部修正ができる「inpaint(インペイント)」の使い方!
Send to 〇〇がアイコンに変更
画像生成時に別タブへ画像や情報を送るためのボタンが、全てアイコンに変わりました。

なお、PNG infoのボタンに関しては、変わっていません。

Style機能の編集・削除可能に
今までAUTOMATIC1111上で編集できなかったstyle機能ですが、ver1.6.0で編集できるようになりました。
UIの変更
まずUIが変わっており、今まであった花札とフロッピーのアイコンがなくなりました。

花札アイコンに関してはモデルやLoRAを表示するものでしたが、ver1.6.0からデフォルトでタブ表示されているため、なくなっています。

プロンプトをstyleに保存できるフロッピーのアイコンもなくなっており、こちらは手動で入力が必要になりました。
Styleの編集(保存・削除)
Styleを保存・削除するには、Styleタブの右側にあるアイコンから操作できます。

以下のような編集画面が表示されるので、名前・プロンプト・ネガティブプロンプトを入力し、Saveをクリックすれば保存が可能です。

なお、削除する場合は、対象のstyleを選択した状態でDeleteボタンを押すだけです。

Styleのプロンプトを入力
保存したStyleのプロンプトを入力したい場合は、まず普通にStyleを選択して編集画面を開きます。
編集画面から右側のアイコンをクリックすると、プロンプトを入力できます。

これに関しては少し手間が増えてしまっているため、使いにくく感じるかもしれません。
新しいサンプラーが追加
ver1.6.0から新しいサンプラーがいくつか追加されました。
追加されたサンプラーは以下の通りです。
- DPM++ 2M SDE Exponential
- DPM++ 2M SDE Heun
- DPM++ 2M SDE Heun Karras
- DPM++ 2M SDE Heun Exponential
- DPM++ 3M SDE
- DPM++ 3M SDE Karras
- DPM++ 3M SDE Exponential
それぞれ三次元・二次元モデルを使い、「1girl, solo, smile, portrait」と入力して画像を比較してみました。
※一部描写が崩れているため閲覧注意


具体的にどんな特徴があるか言語化するのは難しいですが、画像の質感や人物の結果がそれぞれ違っています。
使用モデルでも結果が異なるため、試行錯誤して自分が良いと思うものを使用してみてください。
他にもマイナーなものを含め、v1.6.0ではさまざまな変更が行われています。
詳細はこちらをご確認ください。
AUTOMATIC1111のver1.6.0の変更点まとめ
今回はAUTOMATIC1111のver1.6.0による主要な変更点をご紹介しました。
- AUTOMATIC1111のver1.6.0でSDXL Refinerモデルを使う方法は?
- AUTOMATIC1111 ver1.6.0の変更点は?
- Hires.fixのUI変更
- canvas-zoom-and-panがデフォルトで実装
- Send to 〇〇がアイコンに変更
- Style機能の編集・削除可能に
- 新しいサンプラーが追加
少し触ってみて印象が強いのはやはりUIの変更です。
使い方がわかれば問題ないのですが、今までのUIに慣れている方はver1.6.0で少し戸惑うかもしれません。
styleの編集・削除ができる機能はありがたいですが、保存や入力に関しては前の方がよかったなと感じる部分がありました。
ただし、全体的に見れば、SDXLへの対応やcanvas-zoom・サンプラーの追加など、良くなっている部分が多いです。
できることの幅は確実に広がっているため、新しい機能を試したい方はぜひver1.6.0を使ってみてください。
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