現在画像生成AIを利用した広告やゲームなどが増えてきています。
同じように画像生成AIを利用して、ビジネスに活用したいという方も多いのではないでしょうか?
しかし、モデルにはそれぞれライセンスがあり、どのモデルも自由に商用利用していいわけではありません。
今回は商用利用可能か判断するためのライセンスと、実際に商用利用できるモデルをご紹介します。
はじめに
モデルのライセンスや著作権問題は複雑化しており、現状商用利用可とされていても急に使えなくなる可能性があります。
ライセンスが製作者独自のものだったり、提供サイトでOKとされていても、実際に商用利用していいか確認できなかったりするからです。
この記事で紹介するのは、あくまで提供サイト上でOKとされているものになりますので、ご利用に関しては自己責任でお願いします。
モデルのライセンスを確認する方法
モデルを提供しているサイトによって、ライセンスの確認方法が異なります。
おそらくCivitaiかHugging Faceのモデルを使用する方が多いと思うので、この2つのサイトでライセンスを確認する方法についてご紹介します。
Civitaiのライセンス確認方法
Civitaiで提供しているモデルは、モデルページの詳細欄下にあるリンクやアイコンで、利用可能範囲を確認できます。
アイコンがなく「CreativeML Open RAIL-M」のリンクだけの場合は、商用利用可能です。
CreativeML Open RAIL-Mのライセンスについては日本で解説してくれている方もいるので、こちらを確認してください。
・CreativeML Open RAIL-Mの原文
https://huggingface.co/spaces/CompVis/stable-diffusion-license
・翻訳して解説してくれているページ
https://qiita.com/robitan/items/887d9f3153963114823d
アイコンは「CreativeML Open RAIL-M」の利用範囲に制限がついているものです。
クリックすると項目ごとにライセンスの確認ができます。
以下は上記のライセンスを和訳したものです。
- Use the model without crediting the creator(クリエイターのクレジットを入れずにモデルを使用する)
- ×の場合、画像を生成したときにモデル・製作者のクレジット表記が必要
- Sell images they generate(生成した画像を販売する)
- ×の場合、生成した画像を販売することはできない
- Run on services that generate images for money(お金を払って画像を生成するサービスを運営する)
- ×の場合、このモデルを使用できる有料の画像生成サービスは運営できない
- Share merges using this model(このモデルを使ったマージ画像を共有する)
- ×の場合、このモデルを使ったマージモデルは共有できない
- Sell this model or merges using this model(このモデルまたはこのモデルを使ったマージファイルを販売する)
- ×の場合、このモデルを使ったマージモデルは販売できない
- Have different permissions when sharing merges(マージ画像を共有する際に、異なる権限を持つ)
- ×の場合、マージモデルにもこのモデルと同じ権限が与えられる
1と2がOKであれば、作者のクレジットなしで画像販売できると判断できます。
Hugging Faceのライセンス確認方法
Hugging Facのモデルは、モデル名の下にある「License」という項目で、どのライセンスが適用されるか確認できます。
「CreativeML Open RAIL-M」は上記で解説したように、基本は商用利用可とされています。
「CreativeML Open RAIL-M」以外だと「Other」となっているものがあり、こちらは「CreativeML Open RAIL-M」とは別のライセンスが適用されます。
例えば「7th_anime」という二次元のモデルは「Other」となっており、コミュニティでも商用利用はできないという投稿があります。
また、ライセンスが「CreativeML Open RAIL-M」となっていても、別途ライセンスについて注意書きがある場合があります。
ですので、利用前にコミュニティやREADME.mdにライセンスの記述があるか、確認してみてください。
CreativeML Open RAIL-M dreamlikeは注意が必要
CreativeML Open RAIL-Mと似たような名前で「CreativeML Open RAIL-M dreamlike」というものがあります。
これはCreativeML Open RAIL-Mが改変されたもので、「作者によっていつでもライセンスを変更できる」という記述があり、商用利用のリスクが高いです。
現時点で大丈夫だったとしてもいきなりNGになる可能性があるため、基本商用利用しないことをおすすめします。
LICENSE.md · dreamlike-art/dreamlike-diffusion-1.0 at main
Stable Diffusionで商用利用可能なモデルは?
上記のライセンスに基づき、提供サイト上で「クレジット表記不要」「販売が可能」とされているモデルを三次元・二次元に分けてまとめてみました。
三次元の商用利用可能なモデル
Beautiful Realistic Asians(BRA)
商用利用可能なモデルとして挙がる代表的なモデルです。
名前の通りアジア人の生成に特化しており、リアルな人物を生成できます。
実写に近い画像が生成できるため、AI写真集などはこちらのモデルを利用している方が多いです。
chilled_remix
BRAと同じくらい有名な商用利用可能モデルです。
若干2.5次元感はありますが、ハイクオリティな画像が生成できます。
BracingEvoMix
BRAとchilled_remixの作者さんが話し合って作ったモデルです。
他のモデルに比べてリスクが少なく、幅広いリアルな画像生成が可能。
また作者さんがTwitterやnoteでライセンスについて解説してくれているので、詳しく知りたい方はこちらも確認してみてください。
epiCRealism
BRAとは真逆でアジア人以外のリアルな人物を生成できるモデルです。
ICBINP
こちらもアジア人以外の外国人を生成できるモデルです。
サンプル画像を見ると、車や風景、動物などもリアルに再現されています。
Realism Engine
こちらは人物以外に幅広いオブジェクトが生成できるモデルです。
サンプル画像では風景や建物が多く、二次元テイストのイラストを生成している方もいます。
DreamShaper
DreamShaperはプロンプト次第で三次元も二次元も生成可能なモデルです。
三次元だと少し2.5次元感ぽくなりますが、幅広い画像生成ができます。
また同じ作者さんのモデルで、DreamShaperを補完する目的で作られた「NeverEnding Dream (NED)」やリアルに特化させた「AbsoluteReality」などがあります。
NeverEnding Dream (NED)
AbsoluteReality
二次元の商用利用可能なモデル
三次元と同じく、上記のライセンスに基づき、生成画像の「販売が可能」とされている二次元モデルをまとめてみました。
ただし、二次元モデルは三次元より複雑で、NovelAIのリークモデルが混入している可能性があります。
NovelAI公式は「リークモデルを見かけた場合、法的措置を取る場合もある」と回答しているため、十分注意してください。
NovelAI、“リークモデル”に「法的措置を取る可能性」 SNSで方針明かす - ITmedia NEWS
LittleStepMix
chilled_remixの作者さんがリークモデルの混入を防ぐために、比較的安全なモデルからマージしたモデルです。
それでも100%安全と言い切れないようですが、現状二次元モデルの中では一番リスクの少ないモデルかと思われます。
AnyLoRA
こちらは三次元モデルで紹介したDreamShaperの作者さんが作成したモデルです。
またアニメ調に特化させたAAMというモデルもあります。
AAM
OrangeMix
こちらはCreativeML OpenRAIL-Mライセンスのモデルです。
多くの派生モデルがあり、用途に合わせたさまざまなモデルが提供されています。
Counterfeit
ハイクオリティなアニメ調の画像が生成できるモデルです。
CivitAIでは10万件以上ダウンロードされている人気モデルの1つ。
ライセンスの確認方法とモデルまとめ
今回はライセンスの確認方法と商用利用可能とされているモデルをご紹介しました。
画像生成AIの技術で商用利用を考えている方は、ライセンスに関する知識・確認が必要です。
さまざまなコミュニティで議論されているテーマなので、情報を収集しながら十分注意して利用してください。
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