
画像生成AIの技術をビジネスに活用したいと考えている方は多いのではないでしょうか?
実際に写真集を販売したり、画像生成を請け負ったりしている方もいます。
しかし、モデルにはそれぞれライセンスがあり、どのモデルも自由に商用利用していいわけではありません。
今回はこのライセンスの確認方法と、商用利用可能なモデルをご紹介します。
画像生成でビジネスを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 商用利用の確認方法が知りたい
- 三次元・二次元それぞれの商用利用可能なモデルが知りたい
- 画像生成AIの技術でビジネスがしたい
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はじめに
モデルのライセンスや著作権はかなり複雑化しており、現状特定のモデルが商用利用可能と断言することは難しいです。
ライセンスが独自のものであったり、提供サイトでOKとされていても、実際に商用利用していいか確認できなかったりするケースがあるからです。
ですので、この記事で紹介するのは、あくまで提供サイト上でOKとされているものになります。
ご利用に関しては自己責任でお願いします。
モデルのライセンスを確認する方法
モデルを提供しているサイトによって、ライセンスの確認方法が異なります。
おそらくCivitaiかHugging Faceのモデルを使用する方が多いと思うので、この2つのサイトでライセンスを確認する方法についてご紹介します。
ライセンスの種類
まずライセンスの種類は大きく分けて3つです。
- CreativeML Open RAIL-M
- 現状商用利用可とされているもの
- CreativeML Open RAIL-Mに個別の制限が付いたもの
- CreativeML Open RAIL-M dreamlike
- 商用利用不可
「CreativeML Open RAIL-M」は、現状商用利用可とされているものです。
モデルによっては、このライセンスに個別の制限がかかっています。(後述)
CreativeML Open RAIL-M dreamlikeはCreativeML Open RAIL-Mが改変されたもので、「作者によっていつでもライセンスを変更できる」という記述があります。
現時点で大丈夫だったとしても、いきなりNGになる可能性があるということです。
そのため、dreamlikeとついているライセンスは商用利用しない方が良いでしょう。
・CreativeML Open RAIL-Mの原文
License - a Hugging Face Space by CompVisDiscover amazing ML apps made by the community翻訳して解説してくれている方もいます。
CreativeML Open RAIL-M ライセンスざっくり意訳 - Qiita画像生成界隈でStable Diffusionが話題ですね ご多分に漏れず自分もなにかしようかなと思ったのですが、それにつけても気になるのはライセンス。巷の噂ではCreativeML Open RAIL-Mというライセンス下での使用が...・CreativeML Open RAIL-M dreamlikeの原文
LICENSE.md · dreamlike-art/dreamlike-diffusion-1.0 at mainWe’re on a journey to advance and democratize artificial intelligence through open source and open science.
Civitaiでモデルのライセンスを確認する方法
Civitaiで提供しているモデルは、モデルの詳細ページから確認が可能です。
詳細欄の下に、このようなリンクやアイコンがあります。

CreativeML Open RAIL-Mのリンクのみで、アイコンがないものに関しては商用利用可と判断できます。
アイコンをクリックすると項目ごとにライセンスの確認が可能です。

以下は上記のライセンスを和訳したものです。
- Use the model without crediting the creator(クリエイターのクレジットを入れずにモデルを使用する)
- ×の場合、画像を生成したときにモデル・製作者のクレジット表記が必要
- Sell images they generate(生成した画像を販売する)
- ×の場合、生成した画像を販売することはできない
- Run on services that generate images for money(お金を払って画像を生成するサービスを運営する)
- ×の場合、このモデルを使用できる有料の画像生成サービスは運営できない
- Share merges using this model(このモデルを使ったマージ画像を共有する)
- ×の場合、このモデルを使ったマージモデルは共有できない
- Sell this model or merges using this model(このモデルまたはこのモデルを使ったマージファイルを販売する)
- ×の場合、このモデルを使ったマージモデルは販売できない
- Have different permissions when sharing merges(マージ画像を共有する際に、異なる権限を持つ)
- ×の場合、マージモデルにもこのモデルと同じ権限が与えられる
「マージ」は異なるモデルを融合させて、別のモデルを作成することです。
画像を生成して販売するという目的の場合、1と2がOKかどうかで判断できます。
マージモデルは注意が必要
マージモデルのライセンスがOKとなっていても、元のモデルがNGになっているケースがあります。
例えばよく商用利用可能なモデルとして挙げられる「majicmix realistic」があります。
こちらのライセンスは「マージモデルの販売以外はOK」となっています。
しかし、このモデルのbasic formula(基本式)として記載されているモデル「KanPiroMix + XSMix + ChikMix」を確認すると、画像の販売や異なる権限を持つことをNGにしているモデルが含まれています。
ですので、Civitai上では「majicmix realistic」は商用利用可能となっていますが、本当にOKなのかどうかは正直わかりません。
もしかしたらライセンスが適用されない方法でマージしている可能性もありますが、そういったことも含めて、マージモデルは確認が難しいです。
ですので、マージモデルを利用する場合は元モデルのライセンスを確認して、判断できないときは利用しないようにしましょう。
Hugging Faceのモデルのライセンスを確認する方法
Hugging Facのモデルは、モデル名の下にある「License」という項目で、どのライセンスが適用されるか確認できます。

「CreativeML Open RAIL-M」は上記で解説したように、基本は商用利用可とされています。
「CreativeML Open RAIL-M」以外だと「Other」となっているものがあり、こちらは「CreativeML Open RAIL-M」とは別のライセンスが適用されます。
例えば「7th_anime」という二次元のモデルは「Other」となっており、コミュニティでも商用利用はできないという投稿があります。


また、ライセンスが「CreativeML Open RAIL-M」となっていても、別途ライセンスについて注意書きがある場合があります。
ですので、利用前にコミュニティやREADME.mdにライセンスの記述があるか、確認してみてください。
Stable Diffusionで商用利用可能なモデルは?
上記のライセンスに基づき、提供サイト上で「クレジット表記不要」「販売が可能」とされているモデルをまとめてみました。
あくまでサイト上でOKとされているものなので、詳細はモデルページにて確認してください。
三次元の商用利用可能なモデル
Beautiful Realistic Asians(BRA)

商用利用可能なモデルとして挙がる代表的なモデルです。
名前の通りアジア人の生成に特化しており、リアルな人物を生成できます。
非常に実写に近い画像が生成できるため、写真集などはこちらのモデルを利用している方が多いです。

chilled_remix

BRAと同じくらい有名な商用利用可能モデルです。
ハイクオリティな三次元の画像が生成できます。

また、同じ作者さんがBRAの作者さんと話し合い、OpenBraβ・OpenBraをベースにマージしたBracingEvoMixというモデルも提供しています。
他のモデルに比べて低リスクで使用できるモデルだそうです。

作者さんがTwitterやnoteでライセンスについて解説してくれているので、こちらも確認してみてください。

epiCRealism

BRAとは真逆でアジア人以外のリアルな人物を生成できるモデルです。

ICBINP

こちらもアジア人以外の外国人を生成できるモデルです。
サンプル画像を見ると、車や風景、動物などもリアルに再現されています。
Realism Engine

こちらは人物以外に幅広いオブジェクトが生成できるモデルです。
サンプル画像では風景や建物が多く、二次元テイストのイラストを生成している方もいます。
DreamShaper

DreamShaperは三次元も二次元も生成可能なモデルです。
少しアート調ではありますが、多様性のある画像が生成できます。

また同じ作者さんのモデルで、DreamShaperを補完する目的で作られた「NeverEnding Dream (NED)」やリアルに特化させた「AbsoluteReality」などがあります。
NeverEnding Dream (NED)

AbsoluteReality


二次元の商用利用可能なモデル
三次元と同じく、上記のライセンスに基づき、生成画像の「販売が可能」とされている二次元モデルをまとめたものです。
ただし、二次元モデルに関しては三次元モデルより複雑で、NovelAIのリークモデルが混入している可能性があります。
簡単に経緯を説明すると、画像生成AIサービスを提供しているNovelAIが22年10月に不正アクセスを受け、モデルが流出する事件がありました。
NovelAIのモデルは当時二次元美少女を簡単に生成できることから、話題になったモデルです。
流出したモデルからマージモデルが量産され、現在提供されている二次元モデルのほとんどには、リークモデルが混入しているのではないかと言われています。
NovelAI公式は「リークモデルを見かけた場合、法的措置を取る場合もある」と回答しています。
現状リークモデルが混入しているかどうかを確かめるには、アスカテストという方法があります。
アスカテストは特定のプロンプトを入力して、リークモデルと同じ画像が生成されるかチェックする方法です。
詳しく書いてくださっている方がいるので、こちらを参考にしてください。

ただし、アスカテストも確実な確認方法ではありません。
同じ画像が生成されなくてもリークモデルが混入している可能性があるため、二次元モデルの利用には十分注意が必要です。
LittleStepMix

chilled_remixの作者さんがリークモデルの混入を防ぐために、比較的安全なモデルからマージしたモデルです。
それでも100%安全と言い切れないようですが、現状二次元モデルの中では一番リスクの少ないモデルかと思われます。

AnyLoRA

こちらは三次元モデルで紹介したDreamShaperの作者さんです。
三次元・二次元に特化させたモデルを作成しており、二次元のモデルも非常にクオリティが高くなっています。

またアニメ調に特化させたAAMというモデルもあります。
AAM


OrangeMix

こちらはCreativeML OpenRAIL-Mライセンスのモデルです。
多くの派生モデルがあり、多様性のある画像が生成できます。

Counterfeit

ハイクオリティなアニメ調の画像が生成できるモデルです。
CivitAIのトップページに表示されることが多く、10万件以上ダウンロードされている人気の二次元モデルです。
ライセンスの確認方法とモデルの紹介
今回はライセンスの確認方法と商用利用可能とされているモデルをご紹介しました。
- モデルのライセンスを確認する方法
- ライセンスの種類
- Civitaiでモデルのライセンスを確認する方法
- Stable Diffusionで商用利用可能なモデルは?
- 三次元の商用利用可能なモデル
- 二次元の商用利用可能なモデル
画像生成AIの技術で商用利用を考えている方は、ライセンスに関する知識・確認が必要です。
さまざまなコミュニティで議論されているテーマなので、情報を収集しながら十分注意して利用してください。
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