Stable Diffusionを使えるUIは複数ありますが、AI動画を作ろうと思うと、いろいろモデルや拡張機能の導入が必要です。
「EasyPromptAnime」は、AI動画を作るために必要な機能がほぼ揃っており、誰でも簡単に高クオリティなAI動画が作れます。
今回はこの「EasyPromptAnime」の導入方法と使い方についてご紹介します。
EasyPromptAnimeとは?
EasyPromptAnimeは、「Zuntan03」さんという方が作成したAnimateDiff prompt travelを使ってAI動画が簡単に作れるツールです。
AnimateDiff prompt travelはフレームごとにプロンプトを制御できるもので、何フレームまで〇〇、何フレームから〇〇など、フレームごとに要素を指定できます。
またモデルのダウンロードなどもUIで操作できるため、他のUIより導入が簡単。
ただ、全部で約27GBほど容量を使うため、あらかじめ容量を確保しておいてください。
・github
Zuntan03/EasyPromptAnime: ローカル PC でプロンプトから簡単に動画を生成します。
EasyPromptAnimeのインストール
まずはpythonとgitのインストール
EasyPromptAnimeの導入には、pythonとgitが必要です。
インストールしていない方は先にこちらをインストールしてください。
Stable Diffusionをローカルで使用している方はインストール済みだと思うので、この手順は不要です。
・python 3.10.6(Stable Diffusion Web UIの推奨バージョン)
Python Release Python 3.10.6 | Python.org
・Git for windows
Git for Windows
pythonは、最初の「Add python.exe to PATH」にチェックを入れてインストールしてください。
Git for Windowsは全てそのまま「Next」で問題ありません。
具体的な手順はこちらの記事で紹介しています。
Setup-EasyPromptAnime.batでインストール
次にgithubでSetup-EasyPromptAnime.batをダウンロードします。
githubページの「セットアップ」にある「Setup-EasyPromptAnime.bat」というリンクを右クリックして保存してください。
Zuntan03/EasyPromptAnime: ローカル PC でプロンプトから簡単に動画を生成します。
以下のページ右上のDownload raw fileからでも同じものがダウンロードできます。
EasyPromptAnime/src/Setup-EasyPromptAnime.bat at main · Zuntan03/EasyPromptAnime
ダウンロードしたファイルはインストールしたいフォルダに入れます。
バッチファイルがある場所にインストールされるため、専用フォルダを作っておくのがおすすめです。
Setup-EasyPromptAnime.batを右クリックして「管理者として実行」します。
確認画面が表示されるので「はい」を押すと自動的に必要なファイルがインストールされます。
最後に以下のUIが立ち上がればインストール完了です。
EasyPromptAnimeの使い方
EasyPromptAnimeEditorの起動
2回目以降は、EasyPromptAnimeEditorはフォルダ内にある「EasyPromptAnimeEditor.bat」から起動できます。
とりあえず生成してみる
基本はプロンプトを入力して、右上のアニメ生成をクリックするだけです。
とりあえず生成してみたいという方はそのままアニメ生成をクリックしてみてください。
デフォルトで約2秒の動画が作れます。
・デフォルトで生成した動画
モデルの導入・切り替え
以下のパスにモデルを置くと使うことができます。
EasyPromptAnime\animatediff-cli-prompt-travel\data\models\sd
またEasyPromptAnimeEditorのメニューバー「ダウンロード」から、モデルやLoRAなどいろいろダウンロード可能です。
もし既に他のUIでモデルを使用している場合は、シンボリックリンクを使うとデータを移動しなくても読み込むことが可能です。
こちらの記事を参考にしてみてください。
基本タブのモデルから切り替えられます。
12秒の動画を作ってみる
EasyPromptAnimeにはデフォルトで12秒の動画が作れるバッチファイルがあります。
公式に書いてあるやり方だと、動かなかったので手動で設定する方法を紹介します。
・公式はこちら:つかい方
まずsampleフォルダに移動してください。
EasyPromptAnime\sample
ここにバッチファイルとJSONファイルがセットで入っているので、JSONファイルをテキストなどで開き、使用モデルとパスを確認します。
例えば「Vram8G-L120-C16-W448-H512-T768-T1024.json」を開くと「nadenadesitai」というモデルが指定されています。
メニューバーからダウンロードするか、このモデルを直接ダウンロードして以下のパスに入れてください。
nadenadesitai - v1.0 | Stable Diffusion Checkpoint | Civitai
EasyPromptAnime\animatediff-cli-prompt-travel\data\models\sd
これで「Vram8G.bat」を実行すると、nadenadesitaiを使った12秒の動画が作れます。
もし自分の好きなモデルを使いたい場合は、上記のパスにモデルを入れて、JSONファイルを書き換えるだけです。
「Counterfeit-V3.0」を入れた場合は、JSONファイルで以下のように指定します。
保存してから対応するバッチファイルを起動すると、指定したモデルで12秒動画が生成できます。
プロンプトの書き方
プロンプトは「〇:プロンプト1,プロンプト2~」という形式で書いていきます。
〇の部分にはアルファベットや数字を書くことで、コマンドやフレーム数の指定が可能です。
H: | ヘッダプロンプト。全プロンプトの先頭に要素を指定 |
数字: | 特定のフレーム数に要素を指定 |
F: | フッタプロンプト。全プロンプトの末尾に要素を指定 |
N: | ネガティブプロンプト |
L: | LoRAの指定 |
# | コメントを残せる |
M: | モーションLoRAの指定 |
画面下にあるプレビュータブを見ると、実際の入力がどうなっているのかがわかります。
デフォルトのプロンプトは以下の通りです。
- Hで指定したcrowds, akihabaraが各プロンプトの先頭に追加。
- Fで指定した「1girl, maid outfit」が各プロンプトの末尾に追加。
- 0-10フレームに「standing, upset, waving at viewer, surprised: 0.5」を追加
- 10-20フレームに「smile, surprised: 0.5」を追加
- ネガティブプロンプトは「worst quality, low quality:1.2」
なお、LoRAを使う時はStable Diffusion Web UIの入力と異なり、先頭のloraや<>は不要です。
「lora名:weight」で指定できます。
書き方が違うとエラーと出るので、実行前に問題ないか確認してみてください。
あとは自分の好きなように書き換えて、アニメ生成をクリックするだけです。
LoRAの導入・使い方
LoRAデータは以下のパスに置けば使用できます。
EasyPromptAnime\animatediff-cli-prompt-travel\data\lora
使い方は上記で書いた通り、「L:LoRA名:Weight」です。
動画の長さを調整
基本タブのフレーム数を変えれば、動画の長さを指定できます。
動画のサイズ変更
幅と高さでサイズを指定できます。入れ替えを押すと幅と高さが入れ替わります。
VAEの導入・使い方
使用したいVAEを以下のパスに置きます。
EasyPromptAnime\animatediff-cli-prompt-travel\data\vae
基本タブにあるVAEから切り替え可能です。
ワイルドカードの導入・使い方
ワイルドカードは以下のパスにデータを置きます。
EasyPromptAnime\animatediff-cli-prompt-travel\wildcards
使い方はStable Diffusion Web UIと同じで、ファイル名にアンダーバーをつけるだけです。
例えばファイル名が「color.txt」なら「__color__」と入力します。
ただ動画は作れたのですが、ワイルドカードが反映されているかは微妙でした。
使い方が間違っている可能性もあるので、こちらは分かったら追記します。
Textual Inversionの導入・使い方
Textual Inversionは以下のパスに入れます。
EasyPromptAnime\animatediff-cli-prompt-travel\data\embeddings
プロンプトにはそのまま入力するだけです。
例えばeasynegativeならネガティブプロンプトに「easynegative」と入力します。
モーションモジュールの導入・使い方
使用したいモーションモジュールを以下のパスに入れます。
EasyPromptAnime\animatediff-cli-prompt-travel\data\models\motion-module
提供サイトが複数あるので、メニューバーのダウンロードから落とすのが一番簡単です。
・主なモーションモジュール提供ページ
guoyww/animatediff at main
manshoety/AD_Stabilized_Motion at main
アニメ生成タブから切り替えられます。
IP_Adapterの使い方
IP_Adapterは画像から類似画像が生成できる技術です。
以下のフォルダに元画像として使用したいものを入れてください。
EasyPromptAnime\animatediff-cli-prompt-travel\data\ip_adapter_image\test
IPアダプタタブの「エクスプローラで開く」で開けます。
ファイル名を変えることで、特定のフレームに適応することができます。
000.png→0フレーム、010.png→10フレームなど。
「IP(イメージプロンプト)アダプタを使用」にチェックを入れ、比率を指定します。値が大きいと元画像の特徴が反映されやすいみたいです。
これで生成するとフォルダに入れた画像を元に動画が生成されます。
なお、デフォルトでいくつかのフォルダと画像が用意されており、切り替えるとそれを使用して動画生成が可能です。
Motion LoRAの導入・使い方
Motion LoRAはカメラを制御できるLoRAです。
Motion LoRAデータもダウンロードメニュー、または以下のリンクから直接ダウンロードできます。
なお、メニューバーから落とす場合は、デフォルトだとフォルダがないため失敗します。
以下のパスに「motion_lora」というフォルダを作成してから実行してみてください。
EasyPromptAnime\animatediff-cli-prompt-travel\data\models
LoRAそれぞれの動きは以下の通りです。
v2_lora_ZoomIn.ckpt | ズームイン |
v2_lora_ZoomOut.ckpt | ズームアウト |
v2_lora_PanLeft.ckpt | カメラを左に移動 |
v2_lora_PanRight.ckpt | カメラを右に移動 |
v2_lora_TiltDown.ckpt | カメラを下に移動 |
v2_lora_TiltUp.ckpt | カメラを上に移動 |
v2_lora_RollingClockwise.ckpt | カメラを時計回りに回転 |
v2_lora_RollingAnticlockwise.ckpt | カメラを反時計回りに回転 |
プロンプトに新しい行として「M:使用したいLoRA名:weight」と書けば、使用できます。
例)M:v2_lora_ZoomIn:1
ControlNetの使い方
ControlNetは画像から何らかの情報を抽出して、そこから新しく画像生成できる機能です。
まずコントロールネットのタブに行き、使用したいプリプロセッサーを選びます。
cannyを使用する場合は「cannyを使用」にチェックを入れて、画像フォルダを開いてください。
開いたフォルダの中に使用したい画像を入れます。
IP_Adapterと同じく、ファイル名を変えるとそのフレーム数に反映できます。
あとはパラーメータを調整して生成するだけです。
自動的に画像からCanny(エッジ検出)して、そこから動画を生成してくれます。
基本的な使い方は以上です。
他のツールや機能、エラー対策などは公式をご確認ください。
Zuntan03/EasyPromptAnime: ローカル PC でプロンプトから簡単に動画を生成します。
EasyPromptAnimeの使い方まとめ
今回はEasyPromptAnimeの使い方をご紹介しました。
理想の動画を生成するにはいろいろ試行錯誤が必要ですが、使い方は他のUIでAI動画を作るよりも簡単だと思います。
導入や操作自体は非常に簡単なので、ぜひ使ってみてください。